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民事再生法には、いくつか罰則があり、一番重い罪は、詐欺再生罪です(民再255条)。
詐欺再生罪-会社版民事再生手続総合情報
十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
となっています。
「債権者を害する目的」で、下記の行為をすると罰則の対象となります。
一 債務者の財産を隠匿し、又は損壊する行為
二 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
三 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
実際にこの条文の適用で逮捕者がでた事案もあります。
各号を読めば理解できると思いますが、財産を隠したり、わざと壊したり、債権者不利になるよう事実を仮装したりすることを許せば、再生手続に対する信頼一般を失わせることとなりますから、厳罰が科せられます。
10年以下の長期または1000万円以下の罰金ですが、「併科」も可能となっています。
また、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律により、その収益は没収されます。
組織犯罪処罰法13条-会社版民事再生手続総合情報
「債権者を害する目的」であれば、債務者(再生会社)でなくても、誰でも処罰の対象となります。
あれっそもそも債権カットされるのだから、法律そのものが債権者を害する、ということではないの? という疑問もあるかも知れませんが、それは法律に基づいて債権者の権利変更をするものですので、民事再生法上、認められた債権カットは、権利を(不当、不法に)害するものではない、ということが前提となっています。この条文はそれを超えて、債権者を害する目的をもってする行為が処罰対象となっています。過度な萎縮は必要ありませんが、知識を正確に入れて、やってはいけないことは明確に意識しておく必要があります。
再生債務者(再生会社)は、誠実に行動し、すべての債権者に平等にする義務があります。悪質なコンサルタントは、この点をないがしろにして、特定の債権者を利する(または害する行為)をしたり、甘い言葉で再生会社や代表者をそそのかして、犯罪行為となりうることを勧めてくることもありますので、十分に注意してください。
公平誠実義務-民事再生手続総合情報
危機時期には、特に会社代表者は、不安で気が気でなくなり、平常心を失いがちです。
我々は専門家として、皆様をプロテクトしますが、そのためにも、犯罪行為となりうるようなことは厳に慎んでもらうようにしております。
少なくとも本条文は、未遂、は処罰対象ではないので、よからぬことを考えてしまったら、実行せずに、信頼できる専門家に相談するようにしましょう。
泉会計事務所
経営者の方へ(はじめての民事再生)-泉会計事務所
民事再生手続を申請する場合、裁判所に納めるお金が必要です。
予納金と呼ばれます。
(予納金という言葉自体は、他の裁判手続などでも使われるものです。)
負債数億円の場合でも400万円(東京地裁の場合)であり、それなりにかかります。
民事再生手続の予納金
予め、納める、お金、という一般的な意味から作られた用語だと思われますが、では、実際に何に使われるのでしょう?
民事再生手続の場合、監督委員報酬、監督委員補助者会計士報酬、登記費用などに使われます。
登記費用などの公知のための費用は、せいぜい数万円です。
そして、監督委員補助者公認会計士の報酬として約3割(東京地裁の場合であり、他の地裁では金額も異なります)。
残りが監督委員報酬となります。基本的に戻ってきません。
再生手続が途中で頓挫した場合などは、その手続の進捗などに応じて、裁判所が監督委員らの報酬を決定し、余れば、返還されることもあります。
予納金は、それなりに再生会社の負担となります。
しかし、予納金免除とすると、監督委員の報酬を税金から支弁することとなるので、これも納税者一般の理解を得るのは難しいかも知れません。
私は、こうした透明性のある手続で、産業再編が進んでいくのであれば、広く国民経済に役立つこととなるので、税金を使うことにも一理あるようには考えています。実際、私的整理のひとつである活性化協議会案件では、補助金がでることが多いです。
例えば、再生計画案が85%以上の賛成で可決されれば予納金は全額返還し、監督委員報酬等は税金から支弁する、という制度設計があってもいいような気がします。
ともあれ、地獄の沙汰も金次第、というのは例えとして悪いかも知れませんが、事業を整理、再生させるにも、資金が必要なのが、資本主義社会、ということなのでしょう。
はじめての民事再生--泉会計事務所
泉会計事務所
民事再生手続においては、原則として監督委員が選任されます。
監督委員は、民事再生手続が適法、適正に進められているか、債務者(=申し立てた会社、再生会社)を、監督する役目です。
「監督」と言っても、野球の監督とは異なります。
チームを引っ張る責任者、というわけではありません。
文字通り「監督」であり、積極的に手続を進める立場ではありません。
第三者的立場で見守る役割です。
民事再生手続は、あくまでも再生債務者(=再生会社)が主導的に進める手続であり、監督委員は基本的に受動的なチェック役です。
さて、監督委員は弁護士から選任されるのが通例です。
そして、弁護士である監督委員は、会計・財務の専門家ではないので、監督委員補助者として、公認会計士を選任します。
監督委員補助者公認会計士は、財務・会計の専門知識をもって、再生会社の財務、財産評定など、数字にかかわる部分をチェックして監督委員に報告します。監督委員は、補助者会計士の報告を参考にして、様々な判断をし、再生会社の監督に役立てます。
監督委員の補助者公認会計士も会計士なら誰でもいいというわけではなく、企業再生を専門分野とする公認会計士が選任されることが通常です。
会社側の公認会計士は、プロ同士の会話でもって、監督委員補助者会計士とコミュニケーションしながら手続を進めていきます。
このように公認会計士は、縁の下の力持ちとして、危機時にある会社の会計、財務を支え、利害関係者が納得するような数字を作り上げています。
この会計士が作る「数字」がないと会社も弁護士も戦えません。
貴方はどんな会計士に数字を作ってもらいたいと考えるでしょうか。
どんな会計士にスキーム、戦略を考えてほしいと思うでしょうか。
はじめての民事再生-泉会計事務所
監督委員の方へ-泉会計事務所